ライン出力(LO)とヘッドホン出力(PO)は何が違う?LO にヘッドホンを直接挿せるのか(KEYSION 02 Pro を例に)

プレーヤー背面の「ライン出力」にヘッドホンを挿すと、音がほとんど聞こえません。逆にヘッドホン端子にアクティブスピーカーをつなぐと、音量つまみを少し回しただけで部屋が揺れます。どちらも 3.5mm や RCA に見えますが、設計の目的が違います。ライン出力(Line Out、LO)はヘッドホンアンプを通していない固定レベルの信号を出し、ヘッドホン出力(Phone Out、PO)は増幅され音量も調整できます。LO にヘッドホンを直挿しできるかは、その LO が固定か可変かで決まります。
LO と PO は何が違うのか
LO は「信号をきれいに次段へ渡す」ための出力で、次の機器が自分で増幅する前提です。そのため出力レベルは約 -10 dBV から +4 dBu の標準域に固定され、音量つまみには追従せず(可変 LO を除く)、ヘッドホンのインピーダンスも考慮しません。PO はヘッドホン向けで、内部にアンプを持ち、低インピーダンスのヘッドホンを鳴らすだけの電流を出せ、音量も変えられます。
| 項目 | ライン出力 LO | ヘッドホン出力 PO | これが意味すること |
|---|---|---|---|
| 出力レベル | 固定(または可変)のラインレベル | 音量に追従し範囲が広い | LO にヘッドホンだと小さすぎるか大きすぎる |
| ヘッドホンアンプ | 通さない、または独立した増幅段 | 内蔵 | 推力とインピーダンス整合を考えるのは PO |
| インピーダンス | 高インピーダンス負荷向け(およそ 1kΩ 以上) | 16-600Ω のヘッドホン向け | LO は低インピーダンス機に電流が足りないことがある |
| 主な用途 | 外付けアンプ、アクティブスピーカー | ヘッドホン | 間違えても壊れるより、音量と音色が変になる |
なぜ LO は固定レベルなのか
固定レベルは、次段に一貫した入力基準を与えるためです。外付けアンプやパワーアンプ、録音機器は標準レベルの信号を受け取る前提でゲインを設計しています。LO まで音量つまみに追従すると、2 か所で同時に音量を変えることになり、歪みやノイズフロアの上昇を招きます。
LO にヘッドホンを挿すとどうなるか
2 つの場合があります。固定 LO なら音はたいてい小さすぎます。ラインレベルは低インピーダンスのヘッドホン向けではないため、薄く軽い音、特に低域が乏しく感じる機器もあります。可変 LO で十分な電流が出せるなら、PO と大きく違わないこともありますが、ヘッドホンのインピーダンスに合わせた設計にはなっていません。インピーダンスと推力の関係は 出力インピーダンスとダンピング に詳しく書いています。
ヘッドホンは壊れるのか。可能性は低いです。ラインレベルの電圧は通常ヘッドホンを傷めるほどではありません。注意すべきは無音から最大出力へ飛ぶポップ音や、機器自体の直流オフセットです。LO で直に鳴らすときは小さい音量から始めます。
LO か PO かを見分ける方法
表記から見ていきます。Line Out、LO、Audio Out はライン出力、Phone、Headphone、PO、ヘッドホンのアイコンはヘッドホン出力です。音量つまみで変わるかどうかも手がかりになります。回しても出力レベルが変わらなければ固定 LO の可能性が高いです。固定か可変かの最終確認は説明書や仕様表で行います。
LO を使うべき場面
外付けヘッドホンアンプやアクティブスピーカーを接続するなら LO が正解です。信号を標準レベルで渡し、増幅は次段に任せます。LO でヘッドホンを直に鳴らすのは 2 つの場面だけ妥当です。アンプが手元になく、その機器の LO が可変で電流も足りる場合。あるいは高インピーダンスのヘッドホンで一時的にモニターしたい場合です。
KEYSION 02 Pro / 02 / S2 の接続
KEYSION 02 Pro はそれ自体が DAC 兼アンプで、3.5mm と 4.4mm のどちらもヘッドホン出力です。ヘッドホンはそのまま挿し、外付けアンプを使うときは信号源として使います。ポータブルの H-Turbo S2 も同じ考え方で、Type C 入力、3.5mm 出力、16-32Ω のヘッドホン向けです。
LO と PO の区別が本当に効くのは、デスクトップ DAC やサウンドカードです。スピーカー用のライン出力とヘッドホン用出力を並べて備えています。ここでヘッドホンをライン出力に挿すのが、「音がおかしい」という相談の定番の原因です。
結局どうつなぐか
表記を確認し、用途で選びます。ヘッドホンは PO、外付けアンプやアクティブスピーカーは LO です。取り違えても多くは音量と音色の問題で、機器が壊れることはまずありません。迷ったら小さい音量から試します。
執筆:KEYSION オーディオコンテンツチーム。ポータブル DAC とアンプ、ヘッドホンの組み合わせを継続的に検証しており、本稿の 02 Pro、02、S2 の端子仕様は当方の実測と公式仕様に基づきます。ラインレベルの標準値は各機器の説明書をご確認ください。
FAQ
LO と PO は互いに代用できますか?
実質的には代用できません。ヘッドホンは PO、アンプやアクティブスピーカーは LO が設計意図です。可変 LO にヘッドホンを挿せば音は出ますが、推力やインピーダンスは最適化されておらず、音量と余裕は保証されません。
LO にヘッドホンを挿すと故障しますか?
可能性は低いです。ラインレベルの電圧は通常ドライバーを傷めるほどではありません。注意すべきは無音から最大出力へ飛ぶポップ音と、機器の直流オフセットです。LO で鳴らすときは小さい音量から始めます。
LO か PO かを素早く見分けるには?
表記を見ます。Line Out、LO、Audio Out はライン出力、Phone、Headphone、PO とヘッドホンのアイコンはヘッドホン出力です。音量を回して出力レベルが変わるか確認し、変わらなければ固定 LO の可能性が高いです。最終的には説明書で確認します。
アクティブスピーカーはどの端子に?
ライン出力を使います。アクティブスピーカーは内部にアンプを持ち、標準のラインレベル信号を前提にしています。ヘッドホン出力から入れると増幅が二段になり、音量が扱いにくくノイズフロアも上がります。
LO でヘッドホンの音が小さすぎるときは?
その LO が固定か可変かを先に確かめます。固定 LO は元から上げられないので、外付けヘッドホンアンプを足すのが手軽です。可変 LO は上げられますが、歪みとノイズに注意します。


